
今日はピアノ脱力法メソッドの内容について詳しくお話しましょう!
脱力に必要な3つの要素を大切に、全身を緩めて整え、理想的な演奏ができる状態に身体をチューニングしました。
次に、ピアノの演奏に不可欠な手指の使い方にフォーカスしていきます。
手首の柔軟性
指はどこから生えているでしょう?
こう質問すると、大半の方が指の第3関節だと答えるのではないでしょうか。
いいえ、指は手首から生えています。手のひらの中の骨がどうなっているか、想像してみてください。
指を使うということは、すなわち手首から使うということです。
したがって、手首の柔軟性はピアノ演奏にとって大変重要です。
手首のスライド、回転等のトレーニングにより、手首を柔軟に使う感覚を体得します。
拡張

指が長いのにオクターブの演奏が辛い。
必要のない指が一緒に動いてしまう。
または一緒に動かないようにと使っていない指が上がってしまう。
そんな方は、指と指の間の筋肉を緩めて拡張することで問題改善が期待できます。
第3関節お山

脱力した重たい腕の重みを受け止めるためには、指の強度が必要です。
指先から手首までの指全体をアーチ状に整えるために、指の第3関節を頂点としたお山の形を作ることで、強いアーチを形成します。
これは縦のアーチ。

縦のアーチが意識できれば、次に第2~4指の第3関節と第1指の第2関節で形成する、横のアーチも習得を目指します。
2本のアーチがクロスすることで、立体的で強い支えが完成します。
独立分離荷重

指1本ずつに荷重をかけ、しっかりと支えることができているかを確認します。
指の角度、アーチの形など、1本ずつの指をよく観察することで、正しい重心を認識し、弱い指や悪い癖を発見することができます。
黒二本・三本
独立分離荷重で確認した指一本ずつの重心、また打鍵する指以外の全ての指を脱力する感覚を、黒鍵をゆっくり打鍵して確認します。
白鍵よりも細い黒鍵で正しい芯を捉えた打鍵を確認することができれば、白鍵でも同様に指を使うことができます。
そのため、黒鍵でトレーニングします。
ショパンポジション
ショパンが『最も自然な指の形になる』と語ったとされる、E―Fis―Gis―Ais―Cに第1~5指を置いたポジションでの打鍵練習。
少し指間が広がることにより、手首の回転を意識します。
スケール・アルペジオ
黒二本、三本、ショパンポジションは指1本ずつの重さを落とす打鍵を意識した練習。
スケールとアルペジオにはポジション移動が含まれるため、第1指の打鍵角度、指くぐりの際の手首のスライドに特に意識をフォーカスします。
また、手首は固定してアーチの支えと共に保ちます。
ショパンは、「しなやかな身体から、美しい音が紡ぎだされる」ことを、最も大切にしていたのです。
そして声で歌うことも必修としていたそうです。
どんなにテクニックを磨いても、そこに歌心がなかったら音楽ではないから・・・。